エコスピード®工法
エコスピード®工法は、
天然ガスの使用による環境性に加え、
必要機材を簡便化し、作業も容易で、
経済性・安全性・操作性などあらゆる面に
おいて進化した天然ガス圧接工法です。
- 特徴
- 適応
範囲 - 環境
性 - しくみ
- PSリング
- ガス
エコスピード®工法は従来の加熱燃料にアセチレンガスを用いたガス圧接工法に替わり、天然ガスを用いることで環境負荷の低減を図った工法です。また、鉄筋の接合に影響する加熱時の接合面の酸化物の発生を、従来のガス圧接の還元炎に替わり、新たに開発したPSリング(高分子還元材)を用いて酸化を防止する技術を採用しています。PSリングは燃焼により発生する還元性ガスと物理的に大気の侵入を遮断し鉄筋接合面の酸化物発生を防止します。
環境にやさしい天然ガス
建設業界の脱炭素化に
大きく貢献
カーボンニュートラル
LNG(CNL)の導入
これまでも環境負荷への低減が特長のエコスピード®工法ですが、さらなる脱炭素化への取り組みとして、使用する天然ガス(=エコウェルガス)にカーボンニュートラルLNG(CNL)を採用することが決定しました。
在来工法と比べ、品質・安全・環境性で優位性があるエコスピード®工法 は、 新たにCNLの採用でカーボンオフセットが可能になります。持続可能な社会の実現はもちろん、環境課題の解決に大きく貢献します。
PSリングによる
酸化防止技術
酸化物の要因となる雨風や
大気の侵入を遮断します
従来のガス圧接における還元炎での酸化防止技術は、火炎の被包により大気中の酸素を遮断します。しかし雨風や作業ミス等による鉄筋端面からの火炎の被包の外れにより接合面に酸化物が発生すると、接合不良を起こす原因となります。
エコスピード®工法のPSリング(高分子還元材)はポリスチレンと鋼製リングで構成され、圧接前に鉄筋端面間にPSリングを挟み込み、燃焼により発生する還元性ガスで鉄筋端面を直接還元し、鋼製リングで大気の侵入を遮断して酸化を防止します。鋼製リングによって還元性ガスが鉄筋端面の内部陽圧によって一定時間保持されるので、酸化の要因となる雨風や大気の侵入を物理的に遮断できます。
接合不良の低減・
作業性の向上
目視で作業中に不具合が
発見できる、唯一の
鉄筋継手工法です
エコスピード®工法は、還元材によって酸化防止するため、PSリングという還元材を使うのが特徴です。
PSリングに使われている「鋼製リング」には切れ目が1カ所あるため、バーナーの炎を当てると1カ所から噴出炎が出ます。
もしも2カ所以上から噴出炎が出ている時は、何らかの不具合が起きています。このように、炎の状態を作業員が目視で確認することで、作業中の状態を知ることができ、万が一の不具合もその場で発見し中止することができます。
事故が起きにくい
逆火がほとんど発生せず、
安全です
エコスピード®工法で使用するエコウェルガスは、逆火がほとんど発生しにくいため、爆発の危険性がありません。
また、特徴として空気より軽いガス(ガス比重:0.64)のため滞留の恐れがありません。
付臭されている
エコウェルガスで安心
従来工法のアセチレンガスはガス自体にニオイがないため、ガス漏れの発見が困難であることがデメリットの一つでした。一方、エコウェルガスは安全性を考慮して、製造段階でニオイが付けられています。万が一、ガス漏れが発生しても、すぐにニオイで気づくことができるため、安全に作業を進めることができます。
A級継手性能の認定
母材鉄筋とおおむね同等の
性能を有するA 級継手
(公社)日本鉄筋継手協会の工法認定を受けている工法です。鉄筋継手工法認定において、A級継手の性能を確認しています。
安定供給できる天然ガス
天然ガスは
豊富な資源のため、
供給体制も価格も
安定しています
天然ガスは石油と異なり、特定の国や地域に埋蔵生産が集中していないため、供給安定性に優れております。
また、価格変動の影響が他の燃料に比べ比較的小さいエネルギーとして注目されています。
エコスピード®工法(高分子天然ガス圧接継手)の適応範囲は以下の通りです。
鉄 筋
圧接できる鉄筋の種類は、JIS G 3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)に適合する異形棒鋼で、
鉄筋の呼び名は、D19以上,D51以下です。
圧接できる鉄筋の種類と組み合わせ
区分 | 鉄筋の種類 | 鉄筋の呼び径 | 圧接できる鉄筋の種類 |
---|---|---|---|
異形棒鋼 | SD345 | D19以上D51以下 | SD345、SD390 |
SD390 | D19以上D51以下 | SD345、SD390、SD490※1 | |
SD490 | D19以上D51以下 | SD390※2、SD490 |
※1:SD490を圧接する場合は施工前試験を行う
※2:SD490の継手として扱う
鉄筋径の異なる場合の組み合わせ
鉄筋径の異なる鉄筋同士の継手は、7mm以下とする。(但しD41とD51を除く)
高分子天然ガス圧接技量資格
加熱・加圧作業は高分子天然ガス圧接技量資格者が行います。
資格種別による圧接作業可能な鉄筋の種類及び鉄筋径は次の通りです。
高分子天然ガス圧接技量資格者の
圧接作業可能範囲
技量資格種別 | 圧接作業可能範囲 | |
---|---|---|
鉄筋の種類 | 鉄筋径 | |
1種 | SD345、SD390 | 呼び径 D25以下 |
2種 | SD345、SD390 | 呼び径 D32以下 |
3種 | SD345、SD390、SD490 | 呼び径 D38以下 |
4種 | SD345、SD390、SD490 | 呼び径 D51以下 |
-
適用範囲の詳細や施工に関する内容は(公社)日本鉄筋継手協会発行の
「鉄筋継手工事標準仕様書 高分子天然ガス圧接継手工事2018年」をご参照ください。
エコスピード®工法は従来の加熱燃料にアセチレンガスを用いたガス圧接工法に替わり、天然ガスを用いることで環境負荷の低減を図った工法です。従来ガス圧接(アセチレン)と比べてみると、エコスピード®工法は、CO2排出量、エネルギー使用量ともに大幅な削減ができます。また、PSリングに使用されているポリスチレンは、高分子有機化合物で化学式(C6H5C2H3)nで表示される芳香族炭化水素です。炭素と水素で構成され、特殊な元素を含みませんので、燃焼時に有害なガスは発生しません。食品容器・電気製品など幅広い用途に使用され、化学的に安定した無害な物質です。
地球環境保全に貢献する!
① 「天然ガス」による
環境負荷低減
CO2排出量を約60%
削減できます
エコスピード®工法で使用する天然ガスは、自然界に存在する環境にやさしいガスです。
天然ガスを用いることで、従来工法のアセチレンガスを使用した場合と比べて、鉄筋径別の施工1箇所あたりのCO2排出量は平均約60%削減します。また、圧接時(現場での加熱時)の燃焼で排出されるCO2は従来ガス圧接(アセチレン)よりも約25%削減します。
② エコウェルガスが
「カーボンニュートラル」へ ※一部地域を除く
建設業界の脱炭素化に貢献します
地球規模では、天然ガスを使用してもCO2が発生しないとみなされるLNG(カーボンニュートラルLNG=CNL)の活用が始まっています。こうした世界的な環境保全の取り組みを考慮し、天然ガスを使用するエコスピード®工法にも、いち早くエコウェルガスにCNLを導入することを決定しました。これにより、建設現場における脱炭素化に大きく貢献できるものとなります。エコスピード®工法は、在来工法と比べ品質・安全・環境性で優位性がありますが、さらにCNLの採用で脱炭素社会の実現はもちろん、環境課題の解決に大きく貢献します。
実質CO2排出量ゼロへ
CNLとは、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスを、新興国等における環境保全プロジェクトにより創出されたCO2クレジットで相殺すること(カーボン・オフセット)により、地球規模では、この天然ガスを使用してもCO2が発生しないとみなされるLNGです。環境保全プロジェクトは、地球規模での温室効果ガス削減・排出抑制に加え、現地での雇用の創出や生物多様性の保護等、SDGsの目標にも関連しています。CNLの活用は、持続可能な社会の実現に貢献します。
技術革新による
高い環境性
エネルギー使用量を
50%削減できます
従来ガス圧接(アセチレン)とLCA評価で比較をすると、エコスピード®工法を使用することで、電力などのエネルギー使用量を50%削減することができます。
廃棄物も削減できます
従来工法のアセチレンは製造工程でダイオキシンなどの有害物質や廃棄物が発生しますが、天然ガスを原料とするエコウェルガスの製造工程ではそれらの物質を排出しません。そのため、従来工法に比べて汚染物質や廃棄物も削減できます。
有害なガスは
発生しません
エコスピード®工法は、還元炎の代わりに還元性ガスの発生させて酸素を遮断するしくみですが、この工法で使用する材料は燃焼しても有害なガスは発生しません。安心して作業が行えます。
環境に無害な材料を
使用しています
エコスピード®工法は、還元炎の代わりにPSリングを使用しますが、化学的に安定しているもので、無害です。PSリングに使用されているポリスチレンは、炭素(C)と水素(H)でできている化合物なので、燃焼しても有害なガスは発生しません。
エコスピード®工法は、専用の圧接機器類と専用のエコウェルガス(天然ガス)を使用します。
作業性がよく、だれもが高い圧接性能をキープできるシステムです。
システムフロー
エコスピード®工法は、初代の天然ガス圧接継手(エコウェル工法)に改良を加えて進化し、
作業が容易にできるように必要となる機材も簡便化されています。
加圧パターン
還元炎を必要としないために操作は手動で、全工程において標準炎で加熱できます。
エコスピード®工法による
鉄筋の接合
エコスピード®工法は、従来のガス圧接の還元炎に替わり、ポリスチレンと鋼製リングで構成されるPSリングを用いて圧接を行います。ポリスチレンは、加熱により分解し、還元性ガスを発生します。この分解ガスを鋼製リング内に留めることにより、鉄筋端面の酸化を防止します。
還元炎を用いる場合は、火炎の還元力の相違や雨風、作業姿勢、作業ミスによる鉄筋端面から火炎の被包の外れなどにより圧接性能を損なうことがありますが、PSリングはこれらの問題を解決した工法です。
PSリング
エコスピード®工法は、鉄筋の接合に影響する加熱時の接合面の酸化物の発生を、従来のガス圧接の還元炎に替わり、新たに開発したPSリング(高分子還元材)を用いて酸化を防止する技術を採用しています。PSリングは加熱で発生する還元性ガスと物理的に大気の侵入を遮断し鉄筋接合面の酸化物発生を防止します。
PSリングの構造
還元材のポリスチレンと鋼製リングで構成されています。(PSリング底部に鋼製リングがあります)
PSリング標準仕様
「エコウェルガス」は、天然ガス圧接工法(エコスピード®工法、エコウェル工法)専用の天然ガスです。
エコウェルガス
天然ガスは産出地や供給拠点によって、さまざまなガス組成のものが存在します。
圧接専用天然ガス(エコウェルガス)は天然ガス圧接用に成分を確認した天然ガスです。
ガス性状
- 天然ガスを原料とし、メタン(CH4)成分が80%以上の組成をもつこと。
- 容易に臭気によるガスの感知ができるように付臭されていること。
供給形態
- 高圧ガス容器に充填された圧縮ガスであること。
ボンベ仕様
- ガス充填量 :10㎥
- 充填圧力 :35℃のとき19.6MPa
-
容 器 :継目無し50L容器
(ねずみ色)
エコウェルガスのメリット
カーボンニュートラル
LNG(CNL)の採用
「エコウェルガス」がカーボンニュートラルになりました。
※2022年4月より一部地域を先行して供給を開始しています
これまでも環境負荷の低さが特長の天然ガス圧接「エコスピード®工法」ですが、さらなる脱炭素化への取り組みとして、使用する天然ガス(=エコウェルガス)にカーボンニュートラルLNG(CNL)を採用することが決定しました。
在来工法と比べ、品質・安全・環境性で優位性があるエコスピード®工法 は、 新たにCNLの採用でカーボンオフセットが可能になります。持続可能な社会の実現はもちろん、環境課題の解決に大きく貢献します。
天然ガスとは?
天然ガスも石油と同様、炭化水素ですが、石油に比べて、環境への影響が低いといわれています。天然ガスは、メタンを主成分としていて、有害な一酸化炭素をはじめとする不純物をほとんど含まず、燃焼したときに発生する窒素酸化物、二酸化炭素の量が石炭や石油より少なく、硫黄酸化物は発生しないためです。
天然ガスの生産地は世界各地に広く分布していて、埋蔵量も豊富です。このため、長期的な安定供給・環境負荷の低さという点で今後もさらに利用が進んでいくと考えられています。
実際、発電燃料や都市ガスの原料として使われるだけでなく、天然ガスで走る車が開発されるなど、その利用はどんどん進んでいます。