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エコスピード®工法

Q:「エコスピード®工法」と「高分子天然ガス継手」はどう違いますか?
エコスピード®工法は天然ガスの使用による環境性に加え、PSリング(高分子還元材)を用いて鉄筋接合端面の酸化物の発生を防止する新たな技術で、接合不良を低減したガス圧接工法です。
なお、エコスピード®工法は商標登録した工法名称ですが、本工法の認定、作業標準の制定、作業資格者の認証等を行っている(公社)日本鉄筋継手協会では、本工法を「高分子天然ガス圧接継手」と命名しています。
Q:在来工法とは何が違いますか?
エコスピード®工法(高分子天然ガス圧接継手)は従来の加熱燃料にアセチレンガスを用いたガス圧接工法に替わり、天然ガスを用いることで環境負荷の低減を図った工法です。また、鉄筋の接合に影響する加熱時の接合端面の酸化物の発生を、従来のガス圧接の還元炎に替わり、新たに開発したPSリング(高分子還元材)を用いて酸化を防止する技術を採用しています。PSリングは加熱で発生する還元性ガスと物理的に大気の侵入を遮断し鉄筋接合端面の酸化物発生を防止します。
Q:なぜ環境に良い工法なのですか?
環境性が高い理由は2つあります。一つは、工法の技術革新により開発された環境性の優れた天然ガスを用いたエコスピード®工法であること。二つめの理由は、この工法で使用するエコウェルガス(天然ガス)にCNL(カーボンニュートラルLNG)を採用していることです。
環境性が高い理由 ①技術革新による高い環境性

天然ガスは、油田地帯、ガス田地帯から産出するメタンを主成分としたガスです。硫黄分や他の不純物を含まないため燃焼してもSOXやススを発生せず、発熱量あたりのCO2排出量が石油などの化石燃料の中で最も低く、製造過程においても環境負荷がもっとも小さいエネルギーです。そのため、天然ガスを用いたエコスピード®工法は、従来のガス圧接と比較して、非常に環境性の優れたものとなっています。

従来ガス圧接(アセチレン)との比較

①LCA評価での比較

  • 二酸化炭素の排出量: 約60%削減
  • エネルギー使用量: 約50%削減
1箇所あたりのCO<sub>2</sub>排出量
鉄筋径別炭酸ガス排出量(LCA評価)

②圧接時(燃焼時)の比較

  • 二酸化炭素の排出量: 約25%削減

環境性が高い理由 ②CNLエコウェルガスでカーボンオフセット

エコスピード®工法では使用する天然ガスにCNLを採用しています。CNLとは、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスを、新興国等における環境保全プロジェクトにより創出されたCO2クレジットで相殺すること(カーボン・オフセット)により、地球規模では、この天然ガスを使用してもCO2が発生しないとみなされるLNGです。環境保全プロジェクトは、地球規模での温室効果ガス削減・排出抑制に加え、現地での雇用の創出や生物多様性の保護等、SDGsの目標にも関連しています。CNLの活用は、持続可能な社会の実現に貢献します。

CNLが活用するCO2クレジットは、
SDGsの目標達成に寄与する
プロジェクトから創出されたものです。
Q:PSリング(高分子還元材)はどんなものですか?
PSリングはポリスチレンと鋼製リングで構成され、圧接前に鉄筋端面にPSリングを挟み込み、燃焼により発生する還元性ガスで鉄筋端面を直接還元し、鋼製リングで大気の侵入を遮断して酸化を防止します。
従来のガス圧接における還元炎での酸化防止技術は火炎の被包により大気中の酸素を遮断します。
しかし雨風や、作業ミス等による鉄筋端面からの火炎の被包の外れにより接合面に酸化物が発生し接合不良を起こすことがあります。エコスピード®工法はPSリングによって鉄筋端面を直接還元します。鉄筋端面の内部が陽圧になることにより大気等の酸化物の侵入を物理的に遮断します。
Q:施工範囲を教えてください。

圧接できる鉄筋の種類及び鉄筋径は以下となります。

区分 鉄筋の種類 鉄筋の呼び径 圧接できる鉄筋の種類
異形棒鋼 SD345 D19以上D51以下 SD345、SD390
SD390 D19以上D51以下 SD345、SD390、SD490※1
SD490 D19以上D51以下 SD390※2、SD490

※1:SD490を圧接する場合は施工前試験を行う
※2:SD490の継手として扱う

鉄筋径の異なる鉄筋同士の継手は、D41とD51を除き7㎜差までとなります。

Q:外観基準を教えてください。
外観基準
Q:検査基準を教えてください。

□外観検査は全数検査とします。
□超音波探傷検査は抜取検査とします。(検査ロットごとに30箇所)
※検査基準詳細については従来のガス圧接と同基準です。

その他

Q:エコウェル協会とはどんな団体ですか?
エコウェル協会は従来の加熱燃料にアセチレンガスを用いたガス圧接工法に替わり、環境にやさしい天然ガスを用いた天然ガス圧接工法の普及により、地球環境負荷の低減による社会貢献をし、さらに技術の向上、ならびにその健全なる発展を図ることを目的としております。本協会は、工法開発会社、圧接施工会社および学識経験者により2005年7月に設立された任意団体となります。